15.ミステリー…





「致命的じゃない?」
 いのは頬杖をつき、ストローで氷をカラカラと回しながら呟いた。いつもの、業と舌足らずに喋ったような口調ではない、切れ味のいい一言だった。だから、シカマルは―――顔にこそ出さなかったが―――落ち込んだ。
 テマリともう1ヵ月以上連絡を取っていない。今までは会えなくても手紙なんかをやり取りしていたのが、中忍試験の仕事が終わったら、それもぱたりとやらなくなった。
 中忍試験の頃からいのに相談というか、愚痴じみたものを聞かせていたが、今日ほどばっさり言われたのは初めてだ。
喉がからからだった。茶を一口すすると、いのが口を開いた。
「ていうかそもそもー、テマリはあんたの事どう思ってんのー?」
「どうって………知らねーよ」
「それもまた致命的ねぇー」
 いのの口調はいつもの物に戻っていた。顔には悪戯好きのするあの笑みが浮かぶ。
「だってそれって付き合ってもないって事でしょー。それで連絡ないんじゃ切られたんじゃないのー?」
「きられた?」
「そう言わない? “もう恋人候補外・友達も無理”て音信不通にするの」
「おまえそんなんやってるのか」
「まぁねー、もてるからー。テマリももてそうよねー」
 確かにそうだと思ったが、いのには今で十分遊ばれているのだ。シカマルは黙るしかない。
 賑やかないのの笑い声が、ぴたりと止んだ。
「なんで自分から連絡しなかったの? アンタ、中忍のあれ終わってから暇してたじゃない。喧嘩でもしてた?」
「…別に」
「じゃあ何でよー」
「…いいと思ってたんだよ」
 シカマルは頭を抱えた。
 目を閉じれば、声も姿も。一瞬触れただけの感触も。
 鮮やかに思い出されるから、大丈夫だと思っていた。いつでも傍にいる、そんな気になっていた。
 そんな事を、いのにもテマリにも言えるはずがない。
「………すぐまた会うと思ってたんだよ」
「ミステリー…」
「何がだよ」
「アンタらしくないからよー」
 ちょっと考えれば分かるでしょ、とあきれ顔のいのから視線を逸らして、シカマルは誤魔化すようにまた茶を含む。
 それは確かにミステリーで、恋だった。

















いのは半分親身、半分からかい気分です。





 

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