16.意外な一面



 気が付けば回りの友達たちは、誰それが好きだとか、あの子と仲良くなりたいだとか、付き合えたらいいのにだとか、そういう話を好んでするようになっていた。テマリは一人取り残されるような形でその話の輪に加われなくて、話が終わるまで忍具の手入れをしていたりした。下手に話を切り上げさせようとすると、「テマリは何かないの?」「どんな子が好みなのよ」などというふうに反撃を受けるからそうするのが得策だという経験則だった。どの女の子も、頬を赤くして興奮気味に喋る様子が、馬鹿らしくて、羨ましかった。
 この子達もそんな感じなのだろうと思った。我愛羅に駆け寄ったくの一達は見た感じアカデミーを卒業してすぐといったところ。きっと駆けつけられなかったほかの子や、我愛羅じゃない誰かに夢中のほかの子に、楽しそうに話してまわるのだろう。まだ安静が必要だろう我愛羅から彼女たちを遠ざけながら、テマリは自分の友人たちを思い出して、また羨んだ。
 誰にも話したことのない気持ちが、テマリにも今ある。確かにエリートには違いない。けれど、酢昆布を食みながら本を片手に碁盤に向かう姿は既に枯れ果てた老人のようで、とてもじゃないけれど彼女たちのように、かっこいいとか可愛いとか素敵という言葉では表す事はできない。そんな言葉が似合うとも思えない。けれど確かに、心は傾いている。
「そういえばシカマルも」
 ぼんやりとしかけていた意識を、うずまきナルトの良く通る声が収束させた。思わず振り返れば、弟と喋っているひよこ色の頭がうな垂れていた。心をよまれたような、焦りがおこっていた。手の平に汗が滲むのが分る。
 忍具の手入れをしていたような自分が、いまさら彼女たちの中に入れるとは思わない。自分でもわかっているのだ、はっきりいって、恋愛下手だという事を。いくら強くても、頭がきれても、チャクラの量が多くても、この土俵では自分は他の誰にも劣るだろう。もし彼に他の女が近づけば、確実に自分はやられる。しかも彼は女の子が好きな若くしてのエリートなのだ。そこまで考えて、凍った背筋から力が抜けた。気持ちが転げ落ちていく。
 らしくない事この上ない。いつでも強気で負けず嫌いの面だけが表に出る自分の、こんな誰にも言えない部分。意外な一面といわれるだろうこの気持ちを、彼はまだ知らない。













 

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