17.嫉妬



 いつからか自分がとても卑怯な男になっている事を、シカマルはちゃんと気付いていた。どうしてそうなってしまったのか、分かりはしないけれど。
 寝物語に「努力したのか」と聴くと、テマリは自分の手のひらを上にかざして答えた。
「まあ、な」
 臆面もなくそう答える横顔は、自信に満ちあふれて壮麗だ。華やかな金髪さえそういったものの象徴のようでシカマルは歯噛みした。きっと、この白い手に血を滲ませた事だって、あるのだろうとは思う。それでも、それをテマリは感じさせないのだ。
「努力だなんて」
 くすりと意地の悪い笑い方でテマリがこちらを見た。
「お前しくない、単語だな」
「うるせぇ」
 事あるごとに彼女が見せる自信は確かに根拠がある力だ。敵を凪ぎ退ける、何かを守る力。自分には、ないかもしれない力。そこまで考えて、シカマルははたと気がつく。
 ああそうだ。それを恐れていたんだ。
 完全な努力をして完璧な結果が残せるのは理想だけど。
 完全な努力をして失敗するのが恐かったんだ。
 まだくつくつと笑うテマリの手首を押さえつける。
「うるせぇよ…」
 恐いものしらずに思える彼女に、シカマルひどく嫉妬していた。





















 

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