3.素直になれない
何ごとも練習。 それを思い出すたび、シカマルはもうだめだとう気分になる。忍術の練習すらまともにやってこなかった自分が出来るわけがない。
かといってこの場合、今まで楽をするために磨かれてきた知恵が役にたつ訳ではないのだ。
「抜け忍にならないか」
テマリが笑ってそう持ち掛けたのは、ただのいつもの戯れだろうとは思った。それなのに笑って応対できずに、シカマルは黙りこんだのだった。
テマリはそんなシカマルの沈黙を、理解していないのだととったらしく、追って付けたした。勿論、笑みは変わらない不敵なものだ。
「私の側へ来たらいい、と言っている」
「砂の里で暮らせってか」
「そう生真面目な返事をするな」
威圧するような口調で一蹴されて目をすがめるシカマルに、テマリはまだ口説き文句を投げ付ける。
「私も抜忍になった方が面白いじゃないか」
お前の頭と私の戦力があれば、大悪党にも大英雄にもなれると思わないか。彼女の口振りは劇の台詞のような調子だ。
シカマルは言葉に詰まった。 気付いていない振りをすればいい。いつも一緒にいたいという彼女の胸中になど。子どもらしいの無邪気が一番有効な隠れ蓑になるだろう。しかし、冷静に自分の手持ちの戦力を分析すれば、それはどうにも捻出できそうにないのだ。練習不足なのだ。
「分かんねぇだろ…そんなこと」
素直になれないのはそのせい。本当はそれも悪くないと思っているのに、一緒にいたいのは同じなのに。
そっぽを向いて頬杖をつく。視界の端に映るテマリはまだ薄く笑っている。
だからシカマルは安心して、素直に想いを口に出来る手段を、ゆっくり探していけるのだ。
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