4.年下の男の子
報告をすませたテマリを、級友のクノイチがわっと取り囲んだ。内心欝陶しいと思いながらも、上忍中忍のいる事務室前の狭い廊下では騒ぐわけにもいかない。とりあえず歩きだすと次々に投げ掛けられる質問をはらいのける程子供にもなれなかった。
「また木の葉にいってたんでしょ?」
「まあ…そうだが」
「カッコいい子いた?」
「そんな事をきいてどうする」
まさか今回の任務に絡んでるとはモラル上言えないだろう。初見ではなかなかいいと思ったのが遠い昔のように感じる。
「だって木の葉って男多いって聞いたし」
「そう…だったかな」
「テマリの任務の相手も全員男だって聞いたよ」
「…だれに」
「カンクロウ」
「余計なことを」
「どんな子?」
それまで鼻をならすそぶりを見せた他は能面のように動かなかったテマリの表情が、変わった。眉間によった皺に彼女のさとい、噂好きの友人たちが気付かないわけはなかった。
「何、かっこいいの?」
かっこよくはない。
「背たかい?」
自分より7cm低い。
「強い?」
「弱い…いや、強いのか?」
「なんだそれ」
「戦闘タイプ? それとも頭脳派?」
「IQはやたらといいらしいが…」
「ええー、すごいじゃない!」
「テマリのタイプ?」
むしろかけ離れている。というかタイプなど存在しない。
「下忍だよね」
「ああ、ルーキーらしい」
受け答えに狼狽が見えていたテマリの周りの空気が、一瞬動きを止めた。くのいち達は顔に思い思いの表情を浮かべて自分たちの中心にいる、最も強く若いくのいちを見た。
「年下ー!?」
「テ、テマリらしい〜!!」
「完全あねさん女房じゃん!」
我慢ならなくなってきて帯から扇子を抜き取ったテマリから、友人達はまだ相好を奇妙に崩したまま駈け、にげていく。その背中に向かって逆上しかけたテマリはさけんだ。
「五月蝿いッ! 相手が年下で悪いか!!」
そして、自分の言葉を反芻して人を好きになる不思議を再認識するのだ。
背が低くて力も無くて好みのタイプでもない年下の男の子なのに。
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